第28回 全国救急隊員シンポジウム

第28回救急隊員シンポジウム イベント
第28回全国救急隊員シンポジウム

令和初の全国救急隊員シンポジウムが仙台で開催され、私たち大阪医専救急救命学科も参加してまいりました!!

全国救急隊員シンポジウム

第28回全国救急隊員シンポジウム

全国救急隊員シンポジウムは、平成4年度に第1回が開催されました。

令和初の開催地である仙台は、実は第1回の全国救急隊員シンポジウムが行われた開催地でもあります。
第1回開催の参加人数は650人からスタートしましたが、最多人数参加となった第26回幕張メッセ国際センター会議場・展示場での開催は、実に8603人もの救急業務関係者が集まりました。

仙台での開催は実に27年振りであり、この27年という月日には、容易には語ることのできない様々な出来事がありました。

第28回全国救急隊員シンポジウム 会場仙台国際センター展示棟
会場となった仙台国際センター展示棟

阪神淡路大震災や東日本大震災、西日本豪雨などの大規模な災害。
救急救命士の処置範囲の拡大や、指導救命士制度による救急業務に携わる職員の推進。

過去の災害での教訓や、先人たちが残してくれた救急救命技術を守りつつ、救急業務におけるICTやAIの利活用などに、私たちは進んで取り組み実践することを求められています。

全国救急隊員シンポジウムでは、様々な方の意見や発表を聞き、討論を行います。

そして、救急業務に携わる全ての人のつながりを強固なものにし、救急救命体制の更なる向上につながるのです。

今回のメインテーマ

第28回全国救急隊員シンポジウム

第28回のメインテーマは「救急救命の新たなステージに向かって~杜の都・仙台から未来へのメッセージ~」です。

そのテーマの通り、東日本大震災の甚大な被害を目の当たりにした仙台での開催ということもあり、「災害」に着目したプログラムや、ICT技術や多職種連携などの新しい取り組みに対するプログラムの発表が行われました。

どのプログラム発表も非常に興味深く、昨今の情勢の変化に伴う内容となっており、とても勉強になりました。

インバウンドに伴った「外国人傷病者への対応」や、東京オリンピック・パラリンピックに向けての発表など、「救急救命の新たなステージ」を実感できる内容でした。

注目したキーワードその①「DNAR」

様々なテーマに基づいたプログラム発表で、私が興味深く感じたキーワードの1つめが「DNAR」です。

「DNAR」とは

「DNAR」とは、「Do not attempt resuscitation」の略。

患者本人または患者の利益にかかわる代理者の意思決定をうけて心肺蘇生法をおこなわないこと。
ただし、患者ないし代理者へのinformed consentと社会的な患者の医療拒否権の保障が前提となる。

日本救急医学会定義

informed consentとは、医療行為や治験において、医師が患者にその医療行為の内容を説明し、十分に理解し、合意または拒否することを指します。

欧米ではDNAR実施のためのガイドラインも公表されており、日本でも1995年に日本救急医学会救命救急法検討委員会で「DNR指示(do not resuscitation order)」を医師が指示すると定義が示されています。

DNAR

しかし、日本ではDNR実施のガイドラインが公的に決定されていないのが現状です。

また、救急隊が救急隊が心肺停止傷病者に対応する場合、明らかに死亡していると判断される場合を除いては、救命のための蘇生処置を行いながら医療機関に搬送するのが原則であるため、DNAR傷病者の搬送事例については、一刻を争う救急現場ではたびたび混乱が生じていました。

今回のプログラムでもDNARについてのプログラム発表がなされており、DNARについてはそれぞれ考え方があり、課題も多く、今後の法の制定やガイドラインの公表が必要であると感じました。

注目したキーワードその②「高齢化と8050問題」

多くのプログラム発表で取り上げられていた「高齢化」というキーワード。

その中でも高齢化に関連した「8050問題」については、時代を反映している大きな問題であると着目しました。

「8050問題」とは

「8050問題」とは、80代の親が50代の子供を養い、共に生活をしているという問題です。

この背景には1980年~90年代にかけて問題とされていた若者の「ひきこもり」があります。
その時代に「ひきこもり」だった若者が40代~50代になった今も、ひきこもりから抜け出せずに、さらには親も高齢化し、親子で孤立してしまうという社会的問題です。

8050問題

80歳の親が突如として救急搬送が必要となった場合に、50歳の子供が冷静に119番通報し、搬送に対しての対応が可能なのかという点に着目しました。

ひきこもっている子供は、社会との接点がなく、誰かに助けを求めることができずにいケースが多く、医療や介護に対しての地域の支援などを知らずにいます。

社会に出ている人であっても、親が救急搬送される事態は衝撃を受ける出来事です。
私も、救急搬送の現場で悲壮な表情で患者に付き添う人を、何度も見てきました。

まして長期間ひきこもりを続けた子供には、全てを頼っていた親が突然倒れ、かろうじて119番通報できたとしても、救急隊員に対して、既往歴やかかりつけ医もわからず、「どうすれば」とパニックに陥ることも考えられます。

8050問題

こうした8050問題に対し、厚生労働省社会・援護局は平成30年に「ひきこもり地域支援体制」の構築を掲げました。

それぞれの自治体の「地域包括支援センター」と救急隊が情報共有を行うことにより、8050問題の減少につながるのではないかと考えております。

救急隊は、119番通報のあった患者の家族に50代のひきこもりの子供がいたことを、地域包括支援センターに報告します。

また地域包括支援センターは、ひきこもりの子供がいる高齢者と数日接点が取れない場合、管轄の指令センターに救急搬送の要請はなかったかを確認します。

このような情報共有の体制を、令和を迎えてさらに高齢化が進み、「8050問題」が、やがて「9060問題」へと進んでしまう前に、各自治体で構築することが必要であると感じました。

8050問題

救急隊員シンポジウムで学んだ生徒たち

第28回全国救急隊員シンポジウム 大阪医専救急救命学科

今回は大阪医専救急救命学科1年生が全国救急隊員シンポジウムに参加しました。

全国の救急業務に携わる人に囲まれ、普段の学科科目に比べ、一歩踏み込んだ内容のプログラムに触れ、最初は緊張した面持ちを見せた生徒たちでした。

しかし、自分たちが志した救急救命という分野を、全身で体感でき、普段の学校生活では吸収できないようなことを経験し、時間がたつにつれて、その表情は探求心にあふれ、生き生きとしていました。

非常に寒い気候でしたが、よく頑張りました!
いつもとは違う正装姿も、よく似合っています!

仙台観光を満喫!

伊達政宗の騎馬像前で 仙台観光 大阪医専救急救命学科

シンポジウム終了後は仙台観光を満喫しました!!

仙台のシメはやはり牛たんで!!

牛たん ばあやん 仙台駅 グルメ ランチ

仙台駅近くの「ばあやん」さんにて、仙台グルメのシメに牛たんをいただきました!

牛たん ばあやん 仙台駅 グルメ ランチ

帰阪の途に着きます!!

仙台空港駅

とにかく食べ物が美味しかった仙台でした!!

次期開催は地元大阪!!

全国救急隊員シンポジウムの次期開催地は、地元大阪です!

開催日:令和3(2021)年1月28日(木)・29日(金)
会場: フェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)・ホテル・アゴーラ リージェンシー大阪堺  

会場となる堺市は、大阪医専がある大阪市と隣接しており、会場へのアクセスも良いです。

来年も必ず参加し、全国の救急業務に携わる方々の議論・討論に触れ、生徒や私自身の知識向上につなげたいと思っております。

イベントコラム
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