新型コロナウイルスによる影響は、いまだ収束の兆しも見えず、不安な日々が続いております。
本来はこの時期、卒業式や入学式を始め、様々なイベントが行われるはずでした。
今年は暖冬なので、旅行やお出かけに行くのには最適なはずでした。
しかし、今は暖冬で過ごしやすいと感じる気候ですが、季節が進むにつれ、確実に近づいてくるあの恐怖があります。
それは、毎年殺人的な猛暑と共にやってくる、「熱中症」です。
暖冬を超えて汗ばむ3月
2020年は全体的に暖冬傾向にあり、真冬でも比較的過ごしやすい日々が続きました。
3月21日の各所の15時時点での最高気温が、東京21℃、福岡23.8℃、宮崎県神門で25.5℃、鹿児島県志布志は25.2℃と3月にして今年初の夏日を観測しました。
車内では思わずエアコンをONにした方や、直射日光の当たる屋外で、汗ばむこともあったのではないでしょうか?
22日の西日本は、更に気温が上昇するという予報も出ています。
暖冬とは言え、前週との気温差を考えると、急な気温上昇です。
この急な気温の上昇は、熱中症を起こしやすい理由の1つなのです。
急激な気温上昇が熱中症を引き起こす
急激な気温の上昇は、体が慣れていないために自律神経が乱れ、体温のコントロールが難しくなります。
体温コントロールができなくなると、体内に溜まった熱を、外へ放出することができずに熱中症を引き起こします。
2019年5月の熱中症による救急搬送人数は、4448人。
この搬送人数は、5月の搬送人数調査を開始した2015年より、過去最多の人数となりました。
実際に2019年5月は 気象庁のアメダス926地点のうち288地点で5月の最高気温を記録 、1946年の統計開始以来、日が照っている時間が最も多い月でした。
急激な気温上昇による搬送人数の変化
このグラフからもわかるように、平均気温が急激に上昇した5/20~5/26の週は、救急搬送人数も急激に増加しています。
週の平均気温が27.2℃というのは、7月や8月の真夏日や猛暑日に比べて、それほど高い気温ではありません。
しかし、ここまで救急搬送人数が増えた理由は、急激な温度上昇に対しての、体の耐性が追い付かなったことにあると思われます。
また、熱中症による救急搬送人数が急増した理由は、もう1つあります。
早い時期からの熱中症対策が重要
5月に熱中症による救急搬送人数が急増した理由のもう1つは、時期が早いあまり、熱中症対策が行われていなかったとも考えられます。
暑さが本格化する7、8月であれば、メディアや自治体が頻繁に熱中症対策を呼びかけます。
しかし、5月というのは、朝晩であれば、まだ肌寒いときもあるほどです。
梅雨も迎えていないこの時期は、 人々はまだ熱中症に対しての関心が向いていません。
そのため、こまめな水分補給や休憩の呼びかけに対して積極的ではありません。
また、クールビズは開始されておらず、エアコンの使用を「時期尚早」だと思う人も多いです。
熱中症にならないためにも、早めの時期からの熱中症対策が重要なのです。
気温だけではなく「暑さ指数」に注目
熱中症を未然にふせぐため、環境省の熱中症予防情報サイトでは、「暑さ指数(WGBT)」という情報提供を行っています。
この「暑さ指数」とは、熱中症のかかりやすさを示しています。
熱中症は、気温の高い日だけにかかるものではありません。
気温がそれほど高くない日であっても、湿度や日射時間によって熱中症にかかる場合もあります。
「暑さ指数」は、気温や湿度、日射の熱を取り入れた指標です。
労働環境や運動環境の指針としてISOなどで、規格化されています。
熱中症を未然に防ぐためにも、天気予報の気温だけではなく、「暑さ指数」にも注目してみましょう。
この「暑さ指数」は、当日以降翌2日間の3時間ごとの「暑さ指数」を、現在値から予報値まで提供してくれます。
「暑さ指数」は「危険」「厳重警戒」「警戒」「注意」「ほぼ安全」の5段階に分かれています。
この「暑さ指数」をこまめにチェックして、早めの 熱中症対策を行いましょう。
2020年も熱中症に注意
昨年2019年の熱中症の救急搬送人数は、過去最高だった2018年の95137人に次ぐ、71317人でした。
今年2020年も、今期が暖冬だったことを考えると、厳しい暑さになることが予想されます。
また、過去最高の救急搬送人数の2018年に比べて、2019年は5月と9月の救急搬送人数が多い年でもありました。
5月は先述の通り、急激な温度上昇による搬送人数の増加と考えられます。
また注目すべきは、2019年9月の搬送人数です。
2019年の9月は、気温が中々下がらなかったことにより、平均気温も搬送人数の双方が、2018年を大きく上回りました。
9月でも、年々気温の上昇が続く日本では、猛暑日が続きます。
気温だけではなく、湿度や運動環境、労働環境、また自分の体調を考慮し、熱中症対策が必要です。
まとめ
新型コロナウイルスは、まだまだ終わりが見えません。
夏頃まで新型コロナウイルスの影響が続くことも、考えられます。
しかし、確実にあの猛暑はやってくるのです。
新型コロナウイルスと熱中症、双方を対策をしなければならない今年は、過去に例を見ないような厳しい年になるでしょう。
新型コロナウイルスへの感染予防をしつつ、迫りくる熱中症のリスクを未然に防ぐための、早めの熱中症対策を心がけましょう。
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