阪神淡路大震災から25年…私たちにできること

校内学習

6434人という尊い命が亡くなった阪神淡路大震災から、今年で25年がたちました。

現在、大阪医専救急救命学科の生徒たちは、阪神淡路大震災が起こった頃、まだ生まれておらず、あの日の出来事を実際には知りません。

しかし、「命を救う」という道を選んだ、未来ある若者たちは、決して過去の大災害という認識で事は見過ごすことは許されません。

地震が少ないと言われていた西日本を突如として襲った阪神淡路大震災以来、鳥取県西部地震、芸予地震、そして記憶に新しい大阪北部地震。

今後30年以内に起こるとされている「南海トラフ地震」に対して、私たちは「命を救う」という立場にいる者として、身も心も備えておく必要があります。

そこで、大阪医専救急救命学科の生徒は、JPTECファーストレスポンダーコースを受講しました。

奇しくも、このJPTECの修了証を受け取った日は、「1・17」。

阪神淡路大震災から ちょうど25年がたった日でした。

JPTECとは

日本で病院へ救急搬送するまでの救護に関わる人々が、身に着けておくべき知識と、自然と体が動けるような技能を盛り込んだ活動指針のことをいいます。

JPTECが生まれた理由

これまでの外傷に関する研究では、傷病者が亡くなるに至った経緯や病状の状態が解明されていますが、その容態が悪化に向かう際の救護処置が適切ではなかった場合があります。
これは防ぐことができる外傷死(Preventable Trauma Death)PTDに陥ることが、指摘されています。

また、重症な外傷の傷病者に対し、早い段階での救命処置治療を行う必要があり、救急隊は限られた時間の間に、的確で迅速な救急救命活動が必要であり、求められます。

これらの概念に基づき、JPTECが生まれました。

JPTECの目的

傷病者が発生した現場到着から、病院到着までの一連の過程、またはメディカルコントロールの体制下で、その案件に関連するすべての職種が、一貫した認識に基づき、自らの職務を責任を持ち、完了させることが理想形です。

JPTEC協議会や、指定地域組織は、その地域における救急医療の円滑な連携と、救急活動の普及を目的としています。

JPTECファーストレスポンダーコースとは

このコースは、主な職種として消防学校初任科や消防史員、警察官、自衛官など、外傷傷病者が発生する場面に遭遇される可能性がある、非医療従事者を対象としています。

傷病者の発見から救急隊に引き継ぐまでの一連の流れをJPTECの概念に基づいて学びます。

コースは座学、実技で構成されます。

座学

  • JPTECの概要や法的問題、心理的問題
  • ファーストレスポンダーが行う傷病者の対応手順、状況や傷病者の評価、必要な処置

実技

  • 基本的な手技:用手的(器具を用いず、手を使った)気道確保、止血法、刃物の固定など
  • 傷病者評価の方法:気道、呼吸、循環などの評価
  • シナリオステーション:状況評価から詳細・継続観察まで

ファーストレスポンダーコースのコンセプトは「手ぶらでも行えるJPTEC」としています。
18歳以上であれば、医療に関するバックグラウンドに関わらず受講することが可能です。

現職の消防職員からご指導いただきました

今回は現職の大阪市の消防職員をお招きし、大阪医専救急救命学科の生徒たちに、直接のご指導をいただきました。
本当にありがとうございました。

約2時間半の講習を終え、修了証を手にした生徒たち。

「1.17」が記されたJPTEC修了証を手に

阪神淡路大震災を体験したことのない生徒たちは、この日受け取った修了証の日付が「1.17」であることの重みを、しっかりと受け止めています。
生徒たちの表情は、また一層逞しく見えました。

そして私たちはその修了証を手にした者として、いつ襲ってくるか、どれぐらいの規模なのか、予想もできないような災害に備え、日々勉強や経験を重ねています。

生徒全てが「1人でも多くの命を」と深く心に刻んだ、25年目の「1.17」でした。

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